「君達、いい加減にどきたまえ!」
鍛えた怒声が響いた。
教生ならだれしも小さくなって道を空けるに違いない怒声だったが、今回は相手が悪いとしか言いようがない。
「ミゼット!」
求めた援軍は、化粧台から振り向きもせず「まって!こっちも手をはなせないの!」とのたもぅ。
はぁと苦い顔になりつつ、ゼインは孤軍説得を試みた。
「・・・ココア、早く肩からどき給え」
テキは答えた。<うにゃぁ♪> そして、すりすりと頬に顔をすりよせる。
「私はこれから出勤なんだ。教官が遅れて示しがつくとでも思っているの・・・」
<ふにっ!>
肩の反対側からあがった声、テキその2が肩からずり落ちそうになっている事を知る。
「っと、ミルク暴れるな!」
慌てて支えてやると、ミルクは<なーーーぁ♪>と鳴いて、しっぽふりふり。
「…ジョージア、一匹で良い。一匹で良いからもらってくれ…」
ゼインの祈りは今日も天には届かない。
2010.12.12 におさまプレゼンツ <ココアとミルクとミルズせんせぃ>