「ハーイ、ミゼット。久しぶり」

「エレイン!こんなところで何やってるのよ」

「ご挨拶ね。折角ひとが化けて出てやってるのに」

 なるほど足がない。

「ご、ごめん。元気?」

「まあね。ところでさ、あんたミルズ先生と結婚するの?」

「え!まだわかんないけど、そうなったら良いかなって」

 相変わらず耳が早い。ミゼットは頬を赤く染める。

「よく考えたほうが良いわよ」

「なんで?」

「だって、先生と結婚したら、あんた鬼の花嫁になっちゃうわよ。略して鬼嫁」

「それを言いにわざわざ来たの?」

 ミゼットのこめかみがピクピクと痙攣する。

「ええ、そうよ」

「あなたが妙なあだ名つけるからでしょう。もう帰って頂戴!」

 次の瞬間、パッとエレインの姿が消える。

「ごめんごめん。おめでと、ミゼット」

 そして、カラカラと笑う声だけが耳に響いた。


〜Fin〜 2010.7.6